船がいっぱい浮かぶ垂水のアクティブな青い海、
多聞台の斜面いっぱいに、揺れる菜の花、
そして、パン屋さんの店頭に並ぶ、焼き立てのふかふかコルネ、
見慣れた風景が、明るい色をまとって、まるで夢のようなステキな生地に。
垂水で生まれ育った、テキスタイルブランド「コルネ」のまえだともさんは、
子どもの頃から興味を持ったことに、がむしゃらに取り組んできた。
中学、高校では卓球、そのために卓球に強い学校を選んだ。
その後、子供の頃から習っていたピアノを続けたくて、音大へ。
いざ進んでみると、仕事に結びつかず、卒業後は、興味のあった旅行業へ。
始めてみると何かが違う、「やはり何かを作る仕事がしたい」。
学生のころ、元町や三宮の古着や生地探しがとても楽しかったことを思い出し、今度は服飾デザイン関係へ。
働くうちに、生産よりデザインを手掛けたいと思うようになった。
仕事の合間に、東京の芸術系大学の通信講座をはじめたが、持ち前の性格から仕事をやめて上京、本格的に大学へ。
「ちゃんと計画すれば、これほど回り道しなくてすんだんでしょうけど」。
やさしい笑みを浮かべて話すまえださんからは想像できない行動力。
だが美大のデザイン科を卒業しても簡単に仕事はなく、
作品を持ってテキスタイルの展示会のブースをひとつずつ回ったという。
京都や和歌山の染工場などでテキスタイルデザインの経験を積むうち、
自分が好きなデザインを自由に描きたい、
簡単に捨てることができる「モノ」にはしたくない、
そういう思いが強くなり、自分のブランド「コルネ」を立ち上げることに。
「選ばれた人しか持てないものではなく、誰でも気軽に手に取れるもの」をコンセプトに、
「ゆくゆくは、自分がデザインした生地を、雑貨やインテリアなど、もっといろいろなものに展開していきたい」とまえださん。
明るい色合いの、どこか優しいバッグやポーチ、かわいいアクセサリー、おしゃれなエプロンなど、最近ファンも増えつつあるという。
現在は「たもん・センター・カフェ!」や、ウエステ垂水(天ノ下)1階の雑貨店「fleck(フレック)」などで、委託販売中。
「私が作り出すというより、もともとあるステキなものを形にしているだけ」。
これからも、街で見かけた「ステキ」を表現していきたいと語る、
まえださんの夢は、まだまだ大きく育っていきそうだ。
(2018年10月) (堀)
【展示会情報】コルネCORNEテキスタイル展
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