神戸市立平磯海づり公園内にある、ちょっと聞きなれない名前の施設、
「栽培漁業センター」。
花や野菜の栽培と同じように、「育てる漁業」と呼ばれる、新しい形の漁業を行うところとして、
昭和60年(1976年~)前半に、建設されたそう。
今までの自然に成長した魚を、ただ「とる」だけの漁業だけでなく、
魚を人の手で孵化させ、稚魚を育て、自分の力で生きていける大きさになってから放流するなど、
「育てる漁業」を「栽培漁業」と呼びます。
日本で初めて、栽培漁業のセンターができたのは昭和38年で、
昭和50年代になると各都道府県でも、水産試験場や栽培漁業センターがつくられ、
飼育技術の開発に取り組むように。
ここ平磯の栽培漁業センターは、国や府県ではなく市立で、国内で市立は数少ないそうです。
昭和50年代に垂水の浜を埋め立てて建設された、神戸市西部の下水処理施設が地下の部分が多く、
その上の土地を利用する目的で、多目的グランドやテニスコート、サイクルセンター、住宅展示場と共に建設されました。
同センターの見学時には、雑菌を持ち込まないよう靴の裏を消毒。
ここで育てられている魚は、この辺りの海に定着性があるものが選ばれています。
育てたのに、遠くまで泳いで行ってしまっては意味がないですよね。これまでに飼育した魚種は、
ヒラメ・クロダイ・ヨシエビ、カサゴ・オニオコゼ・クロアワビ・アサリ・マダイ・メバル・マコダレイクルマエビなど。
さまざまな魚が卵から育てられている。
特にヒラメは、アジュール舞子の海開きイベントや、小学校などでの放流で、ご存知の方もいるかも。
ヒラメの育成過程。育つのが結構速い。
昭和63年から平成2年の3年間、18~20センチのヒラメ8600尾に標識を付けて放流したところ、
漁師さんから報告のあったもののうち、80%が神戸市の海域から採れていたそうです。
ちなみに親魚は、漁港で一般に混じって購入ということで、ちょっとびっくり。
大きくなりすぎたら海に還すそう。
エサが足りなかったり、大きさが違うと共食いもするので、絶えず観察しています。
放流には、一番海を知っている地元の漁師さんの協力を得、
エサである小魚が育つ環境を整えるために漁礁を造成し、
小さなものは海に戻す「バックフィッシュ運動」を行うなど、
さまざまな取り組みで、努力した結果、同センターがヒラメの生産を行う以前より、
漁獲高が3~4倍に増えたそう。
現在、オニオコゼを育成中。こちらは成長が遅く、また育てにくいそうです。
同センターでは現在ヒラメの漁獲量は、毎年16~24トン。
以前は4~8トンということなので、確実に効果が現れていますね。
最近食べた魚も、ひょっとしてここの生まれかもしれません。
同センターの見学は、病気感染などの諸問題から、なかなかむつかしいようですが、
年に1回程度、平磯海づり公園のイベントの一環として、見学会が行われています。
今回の取材は8月はじめでしたが、8月末の見学会にはすでに応募が2倍以上来ているということでした。
ここで育てられている魚の情報などは、「マリンピアさかなの学校」などで知ることができます。 (堀)
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コメント
色々な情報をありがとうございました
ありがとうございます