人生の転機は、その時は気付かず訪れることがある。
ある助産院の母親教室で、からだにやさしいオリーブ石鹸を作る機会があり、
たまたま参加した奥藤美預子さん。
案外石鹸作りが面白く、子供が生まれてからも家族のために教わった石鹸を作り続けた。
作業場
エキストラヴァージン・オリーブオイルなど新品食用植物油を100%使用し、じっくりと熟成させて作る石鹸は、
肌に優しく手作りならではと、やがて幼稚園のバザーなどを通じて、周囲の人たちからも要望が増えていき、
2007年、薬事法の許可を取得して会社として「塩屋オリーブ」がスタートした。
「私たちの石鹸は特別なものではなく、本に載っているとおりの作り方です」。と奥藤さん。
きっちり20分かけて混ぜ合わせる。
石鹸をつくる過程で、分量どおりに量った油と苛性ソーダ水をきっちり20分間手を休めず混ぜなければならないことや、
できた石鹸を固める作業は、時間と手間がとてもかかるなど、単純作業ながら案外継続は難しい。
「性に合っていたんでしょうね」。
固めた後は3カ月以上かけて熟成。
やがて障害者福祉に携わる夫の正登さんが、じっくり向き合うことが得意な障害者の性質に石鹸作りがあっているのではと思いつき、社会に出るための訓練の場として、障害者の作業参加を受け入れるようになった。
【左】型からだして乾燥 【中】1個ずつに切り分ける 【右】磨いてから最後にラッピング
今年度からは垂水区社会福祉協議会の「ハートブリッジ助成」も受け、パソコンなどを導入、
障害者の社会進出の手伝いにさらに力を入れていくことになった。
パソコンで商品管理も始める予定
「はじめは趣味の石鹸作りでしたが、今では夫婦の生涯の仕事になりました」。
作業場では純度100パーセントのオリーブ石鹸を中心に、ココナッツやパームを混ぜたマルセイユ石鹸、
よもぎ、米ぬか、はちみつ、アロエ、コーヒーなど、用途に応じた様々な性質を持った石鹸が作られている。
アロエやはちみつなど、さまざまな材料。
【左】5種のお試しセット 【右】効能がそれぞれ違う
湿度や温度の加減から、石鹸作りは春と秋が向いており、現在は生産のピーク。
泡立て器を片手に、この期間中は混ぜる作業に追われる。
(2014年4月現在) (堀)
クリックお願いします
にほんブログ村
コメント