多芸多才、神出鬼没、出会った人がみんな虜に ~川東 丈純さん~

「宝箱を作ろう」。
3月の土曜日、塩屋北小学校のクラブハウスに集まった子供たちに、語りかけるのは、塩屋在住の川東丈純さん。
「この1年の思い出がいっぱい詰まった、自分の宝箱だよ」。

 
それぞれの席にはまっ白い箱と、部屋の一角には、リボンやボタン、色紙、ワイヤー、牛乳パック、毛糸、チラシ。そしてお絵かきの道具、ハサミ、ボンドなど。子どもたちはいっせいに、思い思いの材料を使って、宝箱を制作。
約1時間で、思い出がいっぱい詰まった宝箱が完成した。
 

「作ることの楽しさを知る、そのきっかけになれば」と、
自身のお子さんが在学中に、川東さんが講師として同校で始めた「お絵かきの森」は、今年で16年目。


今年卒業の子どもたちには、似顔絵とメッセージの色紙をその場で。

スタッフとして、当初から一緒に活動している河合さんは、
「川東さんのアイデアはいつもすごい。私たちスタッフも楽しませてもらっています」と、子供たちの間を回り、手伝ったり、アドバイスしていく。

川東さんはこの「お絵かきの森」だけでなく、活動は多岐にわたる。
県立尼崎工業高校「あませつ君の放課後博物館」で、生徒たちと防災講談「生き神」(原作「稲むらの火」)を好演、芦屋市立谷崎潤一郎記念館では「ちんげん祭ー川東丈純「道楽あーと。」展を開催、安曇野への銅鐸絵本取材など、今年になってからだけでも活動範囲は広い。

 

川東さんって一体何者?
講談師、芸術家、絵本作家、語り部?
思わず首をかしげてしまうが、実はれっきとした兵庫県の職員。
現在は、尼崎工業高校の事務局長を務める。
これまで、兵庫文学館や人と自然の博物館、県立美術館、県立図書館等それぞれの赴任地で、加西市や南あわじ市、明石市、尼崎市など自治体と組んで、その土地の風土や歴史、文化などを、楽しみながら興味が持てるように、ボランティア活動を続けてきた。

「僕はあくまでも仕掛け人。こんな面白いことあるんだ、と思えるきっかけを提案する側」と川東さん。
「多くの人を集めて、何かをして、さあお終い」ではなく、「そこから始めてほしい」。

現在は、2015年に見つかった、世紀の大発見といわれる南あわじ市の「松帆銅鐸」7点を擬人化した絵本を制作中。あふれ出るユーモアのセンスと、親しみの持てるかわいいイラスト、さてどんな絵本になるかお楽しみ。
(2019年3月現在)        (堀)

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