レバンテ1号館のコープに降りていく南東の階段横に、ひっそりと展示があるのをご存知だろうか。
「垂水日向遺跡」と名がつけられている遺跡で、1987(昭和62)年に垂水駅前前開発事業の一環である同館建設時に見つかり、1988(昭和63年)年~1991(平成2)年まで4回調査行われた。
工事が進まず、覆われた中で何が行われているのだろうと思っていた人も多かったはず。
1番館なのに、2番館、3番館のあとに落成し、なぜかなと思った人もいたのでは。
この「日向遺跡」は、堆積層5m、縄文時代早期から現代までの綿々と続く、垂水の歴史を垣間見ることができる貴重な遺跡だ。
平安~鎌倉時代・・・奈良東大寺荘園として塩を作っていたと考えられ、掘立柱建物跡、井戸跡、垣根跡など、また土器なども確認されている。釣鐘状蛸壺なども観ることができる。
古墳~飛鳥時代・・・竪穴住居跡、掘立柱建物跡
弥生~古墳時代・・・湿地帯、洪水砂、製塩土器、コップ状の蛸壺など出土。
縄文中期~・・・福田川洪水で流された、土器・石器・大量の樹木が見つかる。
発掘された時は、葉にまだ緑が残っていたそうだ。
縄文時代早期・・・鬼界カルデラの火山灰堆積層(7300年前)や、親子ではと思われる大小の足跡が見つかった(8000年~7000年前)。並んで歩いた状況や、同じ場所を往来する様子などが確認されたそう。
私が惹かれたのは、鬼界カルデラ。
アカホヤ海底火山が7300年前(6400年前という説もあり)大噴火を起こした(たびたび起こしていて、最後に確認されたのがこの時期)。
鬼界カルデラは、薩摩半島から約50㎞南にあるそうで、直径は約20km。
この大噴火の影響は、九州だけでなく本州や四国にも被害を及ぼし、400年~1,000年近くに渡り、早期縄文時代の縄文人生活に大打撃を与えたという。
その後に九州に住み着いた前期縄文時代の縄文人は以前とはルーツが異なり、土器の様式も変わったといい、この火山灰の蓄積層は、NHKで特集が組まれたり、ブラタモリで、タモリさんが地層を見て時々指摘しているくらい日本中の地層化で見ることができる有名なもの。
近年では神戸大学の研究チームが、探査船で色々調べているようだが、活動は活発だということで、私は南海トラフ地震や自然環境破壊による自然災害も怖いが、このカルデラが大噴火を起こせば、日本中が巻き込まれるといい、これも無視できない恐怖。
青森まで火山灰が確認されているといわれ、噴火による津波や地震に加えて、火山灰の脅威が縄文時代とは比較にならない。
鉄分を含む火山灰は、電気系統に誤作動を起こし、日本中で電気を使えない状態になるという。
噴火災害で生き残れても、その後われわれの生活や歴史はどうなってしまうのか。
そんなことも考えさせられる貴重な遺跡なので、まだ訪れたことのない人は、お買い物ついでにどうぞ。
(2017年10月) (堀)