草木が織りなすアート~押し花作家新井愛子さん~

これが押し花?
油絵で描いたような立体感、草木のにおいが漂ってきそうな迫力。押し花作家・新井愛子さん(垂水区海岸通)の作品展に伺って、想像していた押し花の世界とはまるで違う作品を前に圧倒された。
新井愛子さん 作品       新井愛子さん 
若いころから手仕事が大好きだったいう新井さん。編み物の全国コンクールで優勝したことをきっかけに、より深く勉強をしたいとデッサンや色彩学を学び、編み物のデザイナーへの道を薦められるも結婚を機に、名古屋から神戸へ。子育てをしながら長田、灘、垂水各区の勤労センターなどで、編み物の講師を始めた。
60歳からは、当時日本ではまだ普及していなかった押し花を「ふしぎな花倶楽部」で学ぶ。
1年で押し花の師範の資格を取った直後から、講師としてまた押し花作家として78歳の現在まで押し花の先駆者として、常に作品を作り続けている。
16世紀ごろにヨーロッパではじまり盛んになった押し花は、日本では江戸時代に押し葉帳が流行り、戦後押し花でデザインする絵画的なものが広まったと言われる。湿度の高い日本では草花を乾燥させる技術が急速に発展した。
作品作りはまず構想を練って、材料となる花、草木を摘んできて乾燥させることから始まる。作品のどの部分にどの材料を配置すればよいかを綿密に考え、細かいパーツに分けて、ピンセットを使って根気よく置いていく。
新井愛子さん 押し花材料1 新井愛子さん 押し花材料2 材料の草木、花は、完全に乾燥させて保存。
糊づけなどは一切せず、作品の上にガラスを乗せ、真空状態にする。
保存状態がよけえば、色あせることなく20年ほど保てるという。
新井愛子さん 花車 「花車」20年前の作品とは思えない鮮やかな色
新井愛子さん さくら  新井愛子さん 晩秋   新井愛子さん 野路菊  新井愛子さん コスモス
さくら              晩秋         野路菊            コスモス

大きな作品になると気の遠くなるような作業が続く。「やるからにはとことんやらないと気が済まない」新井さん。仕上げの作業が徹夜になることもしばしばなのだとか。
 新井愛子さん 源氏物語 須磨 源氏物語「須磨」 新井愛子さん 源氏物語 明石 源氏物語「明石」
これまで数多くのコンペ作品を出展し、その卓越した芸術性は国内外で高い評価を受けている。
2012年にはフランス・パリのベルシー美術館で開かれた「ジャンヌ・ダルク生誕600周年記念・芸術ワイン」のラベル展で、「紫式部」が、押し花部門で最高賞に当たる「百合の聖女芸術大賞」に選ばれ、ラベルは同美術館に永久収蔵されることになった。
新井愛子さん 紫式部   新井愛子さん 永久収蔵証明書1
数々の受賞歴がありながら、一度も授賞式に出席したことがないという新井さんは「作品が認められることは嬉しいが、評価を受けているのは私ではなく作品。私には講師として果たすべき役割があるから」ときっぱり言い切る。
 新井愛子さん 里山 「里山」
新井さんがどうしても押し花で表現したかった田舎の原風景。川のせせらぎが聞こえてくるようだ。
2年後の80歳で神戸市の講師の定年を迎える。「定年後は、もっと勉強して自分の好きな作品をじっくり作りたい」どこまでも謙虚で、探究心を持ち続ける新井さんの作りだす新たな押し花の世界が楽しみだ。
(2013年11月現在)                   (大道)
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